大名狂言小名狂言は現名寄を踏襲しました。





























聟女狂言には艶物が入ります。実はここには現名寄では重習、極重習の三つの演目が並びます。



















鬼山伏狂言は下部分類を活かしました。

















出家座頭狂言はほぼ現名寄通りですが、数は多いですね。

















そして新設の職人狂言ですが下部分類では耕作人もの、商人もの、盗人もの、すっぱ物、山立・山人ものまでが並びます。

盗人ものでは出来心からの者が多く山立(山賊)も失敗ばなしばかりですし、すっぱ物のすっぱは職業ではありませんが、金銭を稼ぐために、まめにアイディアを実行する姿には同情を禁じ得ませんね。

マイ・NAYOSE   My 名寄

具体的には脇狂言を改変します。脇狂言は昔行われていた上演順(例えば五番の能)を基準にした分類で、狂言は能に付随して演じられて来たのですが、現在は狂言が独立して上演されるようになり、現在の上演形態にはそぐいません。脇狂言をやめるといっても、ただ脇狂言をやめて曲を他の分類枠に再配分するのではなく、脇狂言はほぼ祝言ごとの内容ですから、新しく「神祝い狂言」として分類枠を設定します。

次に集狂言を組み直して、本当に他の分類枠に入りきれないものだけを雑狂言とします。、アツメ狂言とはうまいネーミングなんですが、他流派では率直に雑狂言としています。

また新しく組み直すとき、大分類の「◯◯狂言」の下にある下部カテゴリーを重視し、表に出すことを心がけました。

この表は地図の一種とも言え、茂山家公認の演目182がずらりと並んで、そのうちにお目当ての曲があれば、その曲の上演順、位付、稽古順、類曲などが、すぐ判るようになっています。

演じる側 狂言方にとっては暗記して頭脳の奥深くしまっておいても良いほどの宝の地図です。

しかしそれは演じる側の便利な表ではあっても、見る側にとっては少々敬遠したいと思わせるほど、ややこしい表なのです。

そこで私はこの名寄をカスタマイズして見る側にとって役に立つ表にしたいと考えました。

狂言を知り狂言に近づきたいと思う人のためのガイドマップです。

見る側にとって182の演目はその数だけでも相当なものです。それを頭に入れようとしても上演順や位付、稽古順がからんで来るのです。純粋に狂言を楽しむには上演順や位付けは必要がありません。ただどんな曲目があり、その曲がどこに所属しているかだけを知りたいのです。

ぴあ伝統芸能入門シリーズ「狂言お作法」より

さあ このマイ名寄をじっと眺めてください。いかがですか?

私にはこれが何かの戦いの軍団で、それぞれがひとつのかたまりとしてのまとまりを誇示するだけではなく、中にはいろんな特技をひけらかす武者たちが並んでいるように見えるのです。

(準備OK どうぞ)→第五十九信

仲入り舞台 第五十八信  名寄をカスタマイズして マイ・NAYOSE

そしてこのマイ名寄を使ってみてください。

好きな曲をさがす時、曲の読み方がわからない時、曲と曲の系統関係を調べたい時などに
使えるでしょう。

曲の数を知る時は勘定がらくです。

このマイ名寄の宣伝をして「仲入り舞台」も終です。

次信からはまた狂言の旅を続けて参ります。

またこの旅でお会いしましょう。

神祝い狂言には 囃子物という項目を入れました。囃子の力をエネルギーの源とし、そこに喜びを見出し、「めでたい」と感じる中世人の演目です。

職人狂言には 商人から山人までの項目を入れました。

雑狂言はアツメ狂言の時より数が少なくなりました。職人ではない親族関係を扱ったものと、純粋にどこにも入らないものです。

それとからんでいますが、「職人」をフィーチャーし、職人狂言を部立することにします。

私見によれば室町時代は職人の誕生、その発見の時代です。

「七十一番職人歌合」に代表されるような形で、「土地に縛られた」国土民から「逃げ出し」、「自分の責任で暮らしを立てる」人たちという広い意味の「職人」が出てくるのです。

だから土地に縛りつけられていない人たち、匠、僧侶、医師、芸能人、文筆人はみな「職人」です。
狂言を作り演じる狂言方ももちろん「職人」に入りますが、狂言の登場人物の大半は「職人」なのです。

以上を整理して改変の名寄はこのような表になりました。

そこでカスタマイズにとりかかることにしました。

名寄の良い点は守りましょう。一覧出来る表にします。細かく分けすぎるのは「木を見て森を見ず」の結果になります。

現名寄との混乱が生じないようにしましょう。大きく組み替えては現名寄との混乱を呼んでしまいます。改変はごく小規模に、見る側の難解な点を取り除くことだけにしましょう。

今 旅は大陸間の移動にあたり 「仲入り舞台」という休憩中ですので、前回の続きで名寄についてお伝えします。

狂言世界には名寄という表があり これには演目名が分類されていますが、上演順や稽古順やその演目の位付までも判る狂言方にとっては便利なものです。

名寄はもともと能楽を「式楽」とした幕府や藩が、自分のお抱えの能楽の家を管理するため、各流各家に定期的に差し出すように命じた「書き上げ」でした。

ですから各流各家はそれぞれの名寄を持っており、この伝統は能楽が「式楽」でなくなった現在も続いています。

大蔵流の茂山家の現在の名寄がこれです
戻る狂言の旅TOP
戻る→旅の記録(兼もくじ)
英一蝶 福の神
神祝い狂言
 
下部分類
神物
 
蛭子大黒(エビスダイコク)、大黒連歌(ダイコクレンガ)、毘沙門(ビシャモン)福の神(フクノカミ)、

福部の神(フクベノカミ)、福部の神(勤入)(フクベノカミツトメイリ)、
囃子物

麻生(アソウ)、栗隈神明(クリクマシンメイ)、三本柱(サンボンノハシラ)、末広かり(スエヒロガリ)、

煎物(センジモノ)、 唐相撲(トウズモウ)鍋八撥(ナベヤツバチ)、松脂(マツヤニ)、目近(メジカ)、   
大名狂言
 
新参物  帰郷物 欠勤物  旅物など
今参り(イママイリ)、入間川(イルマガワ)、靭猿(ウツボザル)、鬼瓦(オニガワラ)、蚊相撲(カズモウ)

鴈礫(ガンツブテ)、鶏猫(ケイミョウ)、昆布売(コブウリ)、二千石(ジセンセキ)

秀句傘(シュウクガサ)、墨塗(スミヌリ)、萩大名(ハギダイミョウ)、鼻取相撲(ハナトリズモウ)

武悪(ブアク)、富士松(フジマツ)、文相撲(フズモウ)、二人大名(フタリダイミョウ)、

文蔵(ブンゾウ)、茫々頭(ボウボウガシラ)、

 
小名狂言
 
 太郎冠者物 他 (アカガリ)、居杭(イグイ)、鐘の音(カネノネ)、狐塚(キツネヅカ)、狐塚(小唄入)(キツネヅカコウタイリ)

木六駄(キロクダ)、口真似(クチマネ)、鞍馬参り(クラママイリ)、栗焼(クリヤキ)、柑子(コウジ)

止動方角(シドウホウガク)、しびり真奪(シンバイ)、鱸包丁(スズキボウチョウ)、素袍落(スオウオトシ)

空腕(ソラウデ)、太刀奪(タチバイ)、千鳥(チドリ)、成上り(ナリアガリ)、縄綯(ナワナイ)

寝音曲(ネオンギョク)、花争(ハナアラソイ)、附子(ブス)

舟船(フネフナ)、文荷(フミニナイ)、棒縛(ボウシバリ)、呼声(ヨビコエ) 、米市(ヨネイチ) 、
聟女狂言       聟入り物
岡太夫(オカダユウ)、鶏聟(ニワトリムコ)、二人袴(フタリバカマ)、船渡聟(フナワタシムコ)、
 聟取り物 夷毘沙門(エビスビシャモン) 八幡前(ヤワタノマエ)
 妻定め物
伊文字(イモジ)、釣針、(ツリバリ)、業平餅(ナリヒラモチ)、二九十八(ニクジュウハチ)、吹取(フキトリ)
 夫婦物 石神(イシガミ)、因幡堂(イナバドウ)、延命袋(エンメイブクロ) 、右近左近(オコサコ)、鎌腹(カマバラ)、

鏡男(カガミオトコ)、濯ぎ川(ススギガワ)、千切木(チギリキ)、吃り(ドモリ)、鈍太郎(ドンダロウ)、

塗師(ヌシ)、髭櫓(ヒゲヤグラ)、法師ケ母(ホウシガハハ)、箕被(ミカズキ)、貰聟(モライムコ)
 艶物 庵梅(イオリノウメ) 花子(ハナゴ)、比丘貞(ビクサダ)   
鬼山伏狂言       閻魔物 朝比奈(アサイナ)、政頼(セイライ)、八尾(ヤオ)、 
 鬼物 鬼の継子(オニノママコ)、神鳴(カミナリ)、首引(クビヒキ)、節分(セツブン)
 鬼面物 伯母ケ酒(オバガサケ)、鬮罪人(クジザイニン)、清水(シミズ)、抜殻(ヌケガラ),    
 山伏道中物 柿山伏(カキヤマブシ) 蝸牛(カギュウ)、蟹山伏(カニヤマブシ)、祢宜山伏(ネギヤマブシ)、,
 在地山伏物 (クサビラ)、腰祈(コシイノリ)、(フクロウ)
出家座頭狂言
 
旅僧物、新発意物
俄出家物、座頭物 

悪太郎(アクタロウ)、悪坊(アクボウ)、魚説教(ウオゼッキョウ)、御茶の水(オチャノミズ)
 
不聞座頭(キカズザトウ) 左近三郎(サコノサムロウ)、薩摩守(サツマノカミ)、猿座頭(サルザトウ)

地蔵舞(ジゾウマイ)、重喜(ジュウキ)、宗論(シュウロン)、惣八(ソウハチ)

(タコ)、通圓(ツウエン)、月見座頭(ツキミザトウ)、飛越(トビコエ)、丼礑(ドブカッチリ)、

泣尼(ナキアマ)、名取川(ナトリガワ)、若市(ニャクイチ)、伯養(ハクヨウ)、花折(ナナオリ)

花盗人(ハナヌスビト)、腹不立(ハラタテズ)、無布施経(フセナイキョウ)、骨皮(ホネカワ)

鞠座頭(マリザトウ)、祐善(ユウゼン)、楽阿弥(ラクアミ)、 呂蓮(ロレン)
職人狂言      耕作人もの
鴈雁金
(ガンカリガネ)、佐渡狐(サドギツネ)、(タケノコ)、筑紫奥(ツクシノオク)

松楪(マツユズリハ)、水掛聟(ミズカケムコ)  
 商人もの 合柿(アワセガキ)、河原太郎(カワラタロウ)、牛馬(ギュウバ)、膏薬煉(コウヤクネリ)

酢薑(スハジカミ)、横座(ヨコザ)、
 盗人もの
瓜盗人(ウリヌスビト)、蜘盗人(クモヌスビト)、子盗人(コヌスビト)、八句連歌(ハチクレンガ)、

盆山(ボンサン)、胸突(ムネツキ)、連歌盗人(レンガヌスビト)、
 すっぱ物
粟田口(アワタグチ)、金津(カナヅ)、三人かたは(サンニンガタワ)、磁石(ジシャク)、

宝の槌(タカラノツチ)、茶壺(チャツボ)、長光(ナガミツ)、仁王(ニオウ)、仏師(ブッシ) 

(ヨロイ) 六地蔵(ロクジゾウ)、
 山立・山人 もの 金藤左衛門(キントウザエモン) 狸腹鼓(タヌキノハラツヅミ)、釣狐(ツリギツネ)、 文山立(フミヤマダチ)  
雑狂言
 親族物  伊呂波(イロハ)、財宝(ザイホウ)、舎弟(シャテイ)、枕物狂(マクラモノグルイ)、老武者(ロウムシャ)、
 他
芥川(アクタガワ)、菓争(コノミアラソイ)、土筆(ツクヅクシ) 鳴子遣子(ナルコヤルコ) 
  平物  内神文  本神文  小習 
脇狂言
 宝の槌、鎧、大黒連歌、牛馬 蛭子大黒、松脂、筑紫奥鴈雁金、松楪 末広かり、福部の神、目近、
佐渡狐、麻生、栗隈神明,
三本柱、財宝、福の神、煎物、鍋八撥
唐相撲、毘沙門福部の神(勤入)
大名狂言
 
鼻取相撲、墨塗、鴈礫、萩大名鬼瓦、富士松、文蔵、昆布売、蚊相撲、茫々頭 文相撲、二千石、
二人大名、鶏猫
 
 粟田口、入間川、今参り 秀句傘、靭猿、武悪
小名狂言
 
居杭、真奪、花争、成上り、皹、
鞍馬参り、千鳥、棒縛、附子、
しびり、柑子、口真似、太刀奪、舟船、呼声
縄綯、狐塚、寝音曲、文荷止動方角 鐘の音、栗焼、空腕、鱸包丁、
素袍落、米市
木六駄、
狐塚(小唄入)
聟女狂言  岡太夫、水掛聟、鶏聟、因幡、伊文字、船渡聟、伯母ケ酒、
右近左近、河原太郎、
二九十八、延命袋
八幡前、釣針、二人袴、
鎌腹、鈍太郎、髭櫓、
濯ぎ川
夷毘沙門、貰聟、吃り、子盗人鏡男、石神、千切木、業平餅、吹取
塗師、箕被、
法師ケ母
鬼山伏狂言  清水、腰祈、神鳴、菌、蟹山伏柿山伏、梟 首引、鬼の継子、  抜殻、政頼、鬮罪人、
祢宜山伏、蝸牛
朝比奈、八尾、節分 
出家座頭狂言
 
腹不立、薩摩守、呂蓮、飛越、仏師、金津、地蔵舞、骨皮、
惣八、伯養、不聞座頭、重喜、蛸魚説教、祐善
花折、鞠座頭、御茶の水、若市、丼礑、六地蔵、
左近三郎
 宗論、悪太郎、名取川、無布施経、悪坊、泣尼 猿座頭、月見座頭、花盗人、通圓、楽阿弥 
集狂言
 盆山、茶壺、長光、磁石、膏薬煉、酢薑、舎弟、笋、合柿、文山立、伊呂波、土筆、芥川、金藤左衛門

 三人かたは、胸突、鳴子遣子、仁王 瓜盗人、八句連歌、横座、
老武者、連歌盗人 
 菓争、蜘盗人
重習  庵梅、比丘貞、枕物狂
     
極重習  狸腹鼓、花子、釣狐      

大蔵流茂山家名寄一覧

ひげやぐら 古能狂言之図